売買契約(2)
売買契約(2)
弁護士の八木です。
今回も、「売買契約」について触れたいと思います。
1 前回は破産事件における売買契約の在り方について述べました。。
今回は、売買契約をした相手方が破産した場合の問題について述べたいと思います。
モデルケースとして、動産である食器の売買契約を想定して進めていきます。
2 売主が破産した場合。
⑴ 売主には食器の買主への引渡義務がある一方で、食器の売買代金請求権があります。
⑵ しかし破産すると、破産管財人に破産財団(売主の破産申立当時の財産、負債)の管理
処分権が移るものですから、売買契約に関する権利義務も、破産管財人の管理処分下に置かれる
ことになります。
具体的には、破産管財人が食器の売買契約履行(食器引渡・売買代金受領)、または同契約解除
のいずれかを選択した上で、売買契約の処理をすることになります(破産法第53条第1項)
3 買主が破産した場合
⑴ 買主には食器売買代金支払い義務がある一方で、食器を受け取る権利があります。
⑵ 買主が破産した場合、買主の破産財団の管理処分権が破産管財人に移るものですから、
売主破産の場合と同じく、売買契約に関する権利義務も破産管財人の管理処分下に置かれる
ことになります。
具体的には、破産管財人が食器の売買契約履行(代金支払、食器引渡請求)又は同契約解除
のいずれかを選択したうえで、売買契約の処理をすることになります。
4 破産管財人の選択基準
⑴ 上記の通り破産管財人は契約履行又は解除の選択権を持つわけですが、どういう基準で判断
をするのでしょうか。
⑵ 大事なのは、破産財団にプラスになるか、又はマイナスにならないかです。
ア 例えば、買主の破産管財人は、この食器を売買に基づいて引き取るとして、その後その食器
をどう処分するかを決断しなければなりません。
破産財団は、破産者の財産を清算するために存在するのであり、そのまま破産財団に動産で
ある食器を残しておく、という選択肢は取り難いからです。
そうしますと破産管財人は原則として、売買契約を解除して食器の引取りを断る方向で通常
判断します。
ただ、たまたま食器売却の目途が立っていて、かつ、売買代金を支払っても収支がプラスに
なるのであれば、履行を選択してもよい、ということになると考えられます。
また契約解除をした場合、諸事情により先方から損害賠償請求権を行使されると想定でき、
その請求金額が破産財団にとって無視できない場合で、あえて履行を選択した方がマイナスに
ならないと想定される場合もあります。
履行選択するかどうかは、当該食器の流通価値、売買契約の状況などを確認した上で判断
することになります。
イ 一方売主の破産管財人は、前述の破産財団の在り方からして、破産財団内の動産である食器
は早めに処分をしたい、という判断が働きます。
そうしますと破産管財人としては通常履行を選択して、食器を買主に引き取ってもらい、
買主から売買代金を回収すべきと判断します。
ただ、
① 買主がいわゆる左前で、売買代金の支払いができなさそうな状況で、結果売買代金回収に
手間がかかりそうな場合、
② たまたま食器を従前の売買代金よりも高く買ってくれそうな業者が声をかけてくれた場合
など、特別の事情があれば、あえて解除選択の判断をすることも考えられます。
ウ いずれにしても、破産管財人は早期の決断を求められるのですが、一方で、食器などの物品
を廉売して破産財団の価値を減らす自体(売主破産管財人)、または売却目途の立たない食器
などの物品を引き取ってしまう事態(買主破産管財人)は避けるべきであります。
そこで早期かつ適切な決断の為にも、こういった食器などの物品売却に関して詳しい業者
さんとのつながりを持っておくことも、破産管財人にとっては大事と言われています。
5 以上の通り、取引先が倒産して、破産管財人さんとの物品取引・決済を行う場合は、破産管財人
は以上のような対応をします。
かかる事態を予測したうえで、大きな損失を被らないように対応をし、必要に応じて破産管財人
と交渉をする必要があります。
以上
弁護士の八木です。
今回も、「売買契約」について触れたいと思います。
1 前回は破産事件における売買契約の在り方について述べました。。
今回は、売買契約をした相手方が破産した場合の問題について述べたいと思います。
モデルケースとして、動産である食器の売買契約を想定して進めていきます。
2 売主が破産した場合。
⑴ 売主には食器の買主への引渡義務がある一方で、食器の売買代金請求権があります。
⑵ しかし破産すると、破産管財人に破産財団(売主の破産申立当時の財産、負債)の管理
処分権が移るものですから、売買契約に関する権利義務も、破産管財人の管理処分下に置かれる
ことになります。
具体的には、破産管財人が食器の売買契約履行(食器引渡・売買代金受領)、または同契約解除
のいずれかを選択した上で、売買契約の処理をすることになります(破産法第53条第1項)
3 買主が破産した場合
⑴ 買主には食器売買代金支払い義務がある一方で、食器を受け取る権利があります。
⑵ 買主が破産した場合、買主の破産財団の管理処分権が破産管財人に移るものですから、
売主破産の場合と同じく、売買契約に関する権利義務も破産管財人の管理処分下に置かれる
ことになります。
具体的には、破産管財人が食器の売買契約履行(代金支払、食器引渡請求)又は同契約解除
のいずれかを選択したうえで、売買契約の処理をすることになります。
4 破産管財人の選択基準
⑴ 上記の通り破産管財人は契約履行又は解除の選択権を持つわけですが、どういう基準で判断
をするのでしょうか。
⑵ 大事なのは、破産財団にプラスになるか、又はマイナスにならないかです。
ア 例えば、買主の破産管財人は、この食器を売買に基づいて引き取るとして、その後その食器
をどう処分するかを決断しなければなりません。
破産財団は、破産者の財産を清算するために存在するのであり、そのまま破産財団に動産で
ある食器を残しておく、という選択肢は取り難いからです。
そうしますと破産管財人は原則として、売買契約を解除して食器の引取りを断る方向で通常
判断します。
ただ、たまたま食器売却の目途が立っていて、かつ、売買代金を支払っても収支がプラスに
なるのであれば、履行を選択してもよい、ということになると考えられます。
また契約解除をした場合、諸事情により先方から損害賠償請求権を行使されると想定でき、
その請求金額が破産財団にとって無視できない場合で、あえて履行を選択した方がマイナスに
ならないと想定される場合もあります。
履行選択するかどうかは、当該食器の流通価値、売買契約の状況などを確認した上で判断
することになります。
イ 一方売主の破産管財人は、前述の破産財団の在り方からして、破産財団内の動産である食器
は早めに処分をしたい、という判断が働きます。
そうしますと破産管財人としては通常履行を選択して、食器を買主に引き取ってもらい、
買主から売買代金を回収すべきと判断します。
ただ、
① 買主がいわゆる左前で、売買代金の支払いができなさそうな状況で、結果売買代金回収に
手間がかかりそうな場合、
② たまたま食器を従前の売買代金よりも高く買ってくれそうな業者が声をかけてくれた場合
など、特別の事情があれば、あえて解除選択の判断をすることも考えられます。
ウ いずれにしても、破産管財人は早期の決断を求められるのですが、一方で、食器などの物品
を廉売して破産財団の価値を減らす自体(売主破産管財人)、または売却目途の立たない食器
などの物品を引き取ってしまう事態(買主破産管財人)は避けるべきであります。
そこで早期かつ適切な決断の為にも、こういった食器などの物品売却に関して詳しい業者
さんとのつながりを持っておくことも、破産管財人にとっては大事と言われています。
5 以上の通り、取引先が倒産して、破産管財人さんとの物品取引・決済を行う場合は、破産管財人
は以上のような対応をします。
かかる事態を予測したうえで、大きな損失を被らないように対応をし、必要に応じて破産管財人
と交渉をする必要があります。
以上


