売買契約(1)
弁護士の八木です。
今回は、「売買契約」について触れたいと思います。
1 売買契約は、実務上非常に多く登場する契約です。
不動産、動産、そ
・・・(続きはこちら) 売買契約(1)
弁護士の八木です。
今回は、「売買契約」について触れたいと思います。
1 売買契約は、実務上非常に多く登場する契約です。
不動産、動産、その他権利などを売り買いするときの契約です。
我々が多く手掛けている債務整理業務でも、売買契約は数多く登場します。
2 破産業務において、財産清算のために、破産者の財産を金銭に換価しければならない事が多いのですが、
その際、売買契約が重要な役割を果たします。
売却は、破産手続前に代理人主導で行う場合と、破産手続中に破産管財人主導で行う場合に分けられます。
このような破産手続に関連する売買契約において重要なことはまず、
⑴ 適切な売却価格で早期に売却する
⑵ 売却後のトラブルを回避する
の2点になります。
⑴ 適切な売却価格で早期に売却する
確かに高く売れるに越したことはないのですが、高く売ることを目指して、良い買い手が出るまで粘るなど
して、売却するまでの期間が長引いてしまうことは、結構あることです。
そうしますと破産手続が遅延し、手続進行の妨げになるので、ある程度の適切な値段で、早期に売却する
ことが大事とされています。
⑵ 売却後のトラブルを回避する
売却にあたっては、早期かつ高額売却を心がけるべきではあるのですが、その後、その売買契約に基づく
責任(例えば契約不適合責任(旧法上の担保責任))が発生してしまうと、折角早期に不動産売却しても、
その後発生する責任問題の解決のために時間が取られてしまいます。
特に破産手続中、破産管財人が売主になる場合、破産管財人の任期は破産手続終了までで、その終了後、
契約不適合の事実が発見されても、事実上破産管財人に責任追及できない、という特別な事情もあります。
そこで、このような場合、売主が契約不適合責任を負わない旨の特約を付けて売買契約を締結することに
なります(民法第572条)。
実際、かかる特則が付くことで、売却代金を値引きすることも多いのですが致し方ないことであります。
3 更に大事なことは、抵当権が物件に設定されている場合の対処です。
⑴ 抵当権者は、破産手続とは関係なく、その権利の実行をすることができます
。 ここでいう権利の実行とは、抵当権の被担保債権回収のために、不動産の競売申立をして、その競落代金
から債権金額を回収することです。
⑵ 例えば代理人(破産管財人)が任意売却に向けて活動しても、抵当権者が競売申立てをしてしまうと、
全てがストップしてしまう可能性が高いです。しかも、その競売で売却する場合
ア 裁判所の手続で、抵当権者等による申立、差押え、物件調査の上、
入札手続を経て売却を行うので、相応の時間と費用が掛かります。
イ またいわゆる競売物件は「(一般市場価格の)7掛け」を基準として売却基準価格を定める
と言われており、仮に売却ができて、抵当権者は債権回収に成功するものの、売主にお金が残らない
ことが多いです。
上記2⑴「適切な金額で早期の売却」という目的からしますと、競売手続はその目的にあまり合わない
売却方法であります。
⑶ そこで代理人(破産管財人)は抵当権者と交渉をして、抵当権者が満足いくような、不動産売却による
被担保債権弁済等を提案し、競売ではなく、任意売却による換価を実現する必要があります。
具体的には、
・任意売却の方が早期かつ高価な売却を実現できる可能性が高いこと、
・競売による場合、回収金額も低くなる可能性があること
を示唆しつつ、任意売却への協力を求めることになります。
⑷ また破産管財人の場合、ただ任意売却するのではなく、破産財団にいくら入れられるか(財団組み入れ)
が問題となります。
通常は、売却代金の5%から10%を組み入れを目標にするのですが、被担保債権金額が大きすぎる等の
事情で、5%以下の組み入れしかできない場合、任意売却換価の許可が裁判所から出ない可能性もあり、
任意売却を断念せざるを得なくなります。
そこで任意売却実現のため、抵当権者の受戻金(抵当権を抹消するためのお金)を減らす交渉をする必要
があります。
4 こういった売却の際の交渉が、弁護士の大切な仕事の一つであったりします。
以上