寄託契約
「寄 託」
1 「寄託」契約は、民法上「委任」の章の次に定めのある契約類型です。
この「寄託」という概念は「物を預かる」というもので、他の契約と比較をすると少しわかりやすくなるかもしれません。
(本当は今回、委任契約のことを書こうと思ったのですが、民法の条文を確認しますと、委任の後に「寄託」、ありましたねぇ・・・、と思ったのは秘密です。)
2 委任契約との比較
委任契約の主な契約内容は、「委任者からの依頼で、受任者が他人の事務処理を行うこと」です。
寄託契約の主な契約内容は、「寄託者からの依頼で、受寄者が物を預かること」です。
両者を比較すると、委任契約の概念が寄託契約の概念を包含するように見えます。
他人の事務処理:物を預かる場合含め、ただ預かるだけではなく、補修、改良、」処分などを含む(依頼される事務処理の内容による)
寄託:物を預かる。
3 寄託契約はなぜ、民法の典型契約として定められたのか。
⑴ 物を預かるという契約自体は昔から行われており、ローマ法以来、典型契約として存在し続けています。
例えば、旅行のときに旅行の荷物を預かる契約、倉庫で物を預かる契約、そして銀行で金銭を預かる契約(これは消費寄託と呼ばれる形態をとります)。
⑵ あえて民法が、委任と寄託を分けて定めたのは、それらの契約の根底にある
「事務処理」(預かったものの改良、処分なども可能)、
「預り」(預かって保管するのみ)
という二つの行為について、明確な区別をつけたうえで、契約内容の整理をするためではないかと思います。
⑶ また実際にモノを預けるにしても、預ける人に改良など、余計なことをしてほしくな
い場合もあると思いますので、そういう場合に役に立つ契約だと思います。
4 賃貸借契約との比較:自宅の荷物、預かります!
⑴ 最近、「自宅に置き切れないモノをこちらで預かります」、「荷物の置き場所を提供します」などの募集が増えています。
預りであればダンボール一箱数千円、置き場所であればワンセット月1万円未満から
数万円くらいなのですが、これらの募集はどういう契約の類型になるのでしょうか。
賃貸借契約なのか、寄託契約なのか。
⑵ 賃貸借契約の場合
これは、相手はスペースのみを提供し、荷物の実際の管理や、荷物の出し入れは賃借人
が行う、というパターンになります。
広めのスペースに複数のコンテナをドーンと置いてあるパターンもあれば、アパートや
マンションを改装して、細かく区切ったスペースを提供するパターンもあります。
この契約の場合、預けたモノを賃借人が自由に出し入れできるのですが、荷物破損の可
能性は否定できず、スペースの提供者は荷物破損の責任を負わないのが通常です。
⑶ 寄託契約の場合
この場合、業者が無料で預かることはまずないので、有償寄託契約を想定します。これ
は、相手が荷物を預かり、荷物の実際の管理、荷物の出し入れは受寄者が行う、というパ
ターンになります。
お部屋のいらなくなったものを段ボールに入れて、それを業者さんに送る。気が向いた
とき、必要なときにダンボールごと、またはその一部を送ってもらう、というパターンが
想定できます。
このパターンですと、業者さんが管理を行う、かつ有償契約なので、荷物の破損につい
ての責任を負ってくれる話になります。
ただ「あの預けたCDとか、聞きたいなぁ」と思っても、取戻すのに結構な手続と時間
が必要で、自由に出し入れできない点が課題です。
⑷ 管理コスト、及び破損、盗難コストの観点から両者の方法を比較しますと、価値が相
当ありそうな小物関係は、管理のしっかりした業者に寄託で預かってもらうのが良いと
思います。
一方、価値はそこそこだが、モノはデカく、業者に預けるとなるとお金がかかりそ
う、という場合は、スペースを借りて自分で管理する選択肢が賢いのではないかと思量
いたします。
また季節もの(冬服、おふとん、こたつ、扇風機、小型クーラーなど家に置き切れな
い分)は、スペースで自分で管理した方が便利というポイントもありますが、季節ごと
にしか出さないことを考えれば、あまり大きなものでなければ、寄託の形で預けるのも
アリかもしれません。
5 このように、寄託契約は現代の生活の中にも確かに存在する契約なのです。
以上
「寄 託」
1 「寄託」契約は、民法上「委任」の章の次に定めのある契約類型です。
この「寄託」という概念は「物を預かる」というもので、他の契約、特に委任契約と比較をすると少しわかりやすくなるかもしれません。
(本当は今回、委任契約のことを書こうと思ったのですが、民法の条文を確認しますと、委任の後に「寄託」、ありましたねぇ・・・、と思ったのは秘密です。)
2 委任契約との比較
委任契約の主な契約内容は、「委任者からの依頼で、受任者が他人の事
務処理を行うこと」です。
寄託契約の主な契約内容は、「寄託者からの依頼で、受寄者が物を預か
ること」です。
両者を比較すると、委任契約の概念が寄託契約の概念を包含するよう
に見えます。
他人の事務処理:物を預かる場合含め、ただ預かるだけではなく、補修、改良、」処分などを含む(依頼される事務処理の内容による)
寄託:物を預かる。
3 寄託契約はなぜ、民法の典型契約として定められたのか。
⑴ 物を預かるという契約自体は昔から行われており、ローマ法以来、典型契約として存在し続けています。
例えば、旅行のときに旅行の荷物を預かる契約、倉庫で物を預かる契約、そして銀行で金銭を預かる契約(これは消費寄託と呼ばれる形態をとります)。
⑵ あえて民法が、委任と寄託を分けて定めたのは、それらの契約の根底にある
「事務処理」(預かったものの改良、処分なども可能)、
「預り」(預かって保管するのみ)
という二つの行為について、明確な区別をつけたうえで、契約内容の整理をするためではないかと思います。
⑶ また実際にモノを預けるにしても、預ける人に改良など、余計なことをしてほしくない場合もあると思いますので、そういう場合に役に立つ契約だと思います。
4 賃貸借契約との比較:自宅の荷物、預かります!
⑴ 最近、「自宅に置き切れないモノをこちらで預かります」、「荷物の置き場所を提供します」などの募集が増えています。
預りであればダンボール一箱数千円、置き場所であればワンセット月1万円未満から数万円くらいなのですが、これらの募集はどういう契約の類型になるのでしょうか。
賃貸借契約なのか、寄託契約なのか。
⑵ 賃貸借契約の場合
これは、相手はスペースのみを提供し、荷物の実際の管理や、荷物の出し入れは賃借人が行う、というパターンになります。
広めのスペースに複数のコンテナをドーンと置いてあるパターンもあれば、アパートやマンションを改装して、細かく区切ったスペースを提供するパターンもあります。
この契約の場合、預けたモノを賃借人が自由に出し入れできるのですが、荷物破損の可能性は否定できず、スペースの提供者は荷物破損の責任を負わないのが通常です。
⑶ 寄託契約の場合
この場合、業者が無料で預かることはまずないので、有償寄託契約を想定します。これは、相手が荷物を預かり、荷物の実際の管理、荷物の出し入れは受寄者が行う、というパターンになります。
お部屋のいらなくなったものを段ボールに入れて、それを業者さんに送る。気が向いたとき、必要なときにダンボールごと、またはその一部を送ってもらう、というパターンが想定できます。
このパターンですと、業者さんが管理を行う、かつ有償契約なので、荷物の破損についての責任を負ってくれる話になります。
ただ「あの預けたCDとか、聞きたいなぁ」と思っても、取戻すのに結構な手続と時間が必要で、自由に出し入れできない点が課題です。
⑷ 管理コスト、及び破損、盗難コストの観点から両者の方法を比較しますと、価値が相当ありそうな小物関係は、管理のしっかりした業者に寄託で預かってもらうのが良いと思います。
一方、価値はそこそこだが、モノはデカく、業者に預けるとなるとお金がかかりそう、という場合は、スペースを借りて自分で管理する選択肢が賢いのではないかと思量いたします。
また季節もの(冬服、おふとん、こたつ、扇風機、小型クーラーなど家に置き切れない分)は、スペースで自分で管理した方が便利というポイントもありますが、季節ごとにしか出さないことを考えれば、あまり大きなものでなければ、寄託の形で預けるのもアリかもしれません。
5 このように、寄託契約は現代の生活の中にも確かに存在する契約なのです。
以上


