組合(特に労働者協同組合)
弁護士の八木です。今回は、組合について説明いたします。
1 組合と言えば、株式会社ではなく、あえて組合やその他の形態による団体を立ち上げて事業を行う、ということが行われるようになりました。
株式会社は営利を目的とした行為をすることを想定しており、営利を目的としない事業を行うには、そぐわなかったからです。
2 団体として非営利事業をやる場合、組合だけではなく、公益法人、NPO法人、法人格のない任意団体といった様々な形態での立ち上げが考えられます。
なお非営利事業とは、事業によって得た利益を構成員に分配することを目的としない、例えば社会貢献実現のために使うことなど、営利を目的としない事業が想定されます。
3 組合は、組合契約に基づいて組合員がその契約に基づいて事業を行う、という形態で、先の会社や法人と比べて、組合員個人を重視する形態になります。
しかし組合には法人格がないので、組合自体取引主体になれない,組合名義の預金口座が作りにくいなど、事業を行う際の欠点が存在します。
最近ですと、「協同組合」という形での設立であれば、法律に基づいて組合に法人格が付与されますので、協同組合の形が取れれば、その欠点は解消できます。
なお日本には「協同組合法」という法律自体はなく、中小企業等協同組合法、農業協同組合法、水産業協同組合法、消費生活協同組合法などの法律が定められており、各法に基づき、それぞれの協同組合設立、法人格付与が認められています。
4 さらに労働者協同組合という新しい組合を設立できるようになったのですが(2022年法律成立)、ここでいう労働者協同組合は、民法上の組合や上記各協同組合(特に中小企業等協同組合)、会社、NPO法人などとは以下の点で異なります。
⑴ 労働者協同組合とは、労働者が主体となって、特定の事業を行うという組合です。
民法上の組合と異なり、労働者協同組合法第2条第1項で「労働者協同組合は法人とする」と定めています。
⑵ また労働者協同組合は「営利を目的とした行為」を行ってはいけません(同法第3条第3項)。
営利目的行為を想定した会社とは大きく異なります。
ここでいう「営利を目的とした行為」とは前出の通り、「出資の持分に応じた剰余金の分配を目的としない行為」と言われています。
⑶ 労働者協同組合は、一定の要件を満たして登記を完了すれば、それで法人格が付与されます(準則主義)。
同じ協同組合である各協同組合は、法人格付与には所轄官庁の認可が必要であったりします。
この認可の要否が、設立のしやすさにつながっています。
なお、労働者協同組合であったとしても、許認可が必要な事業を行う場合は、その許認可がないと当該事業ができないことは言うまでもありません。
⑷ 非営利事業を行う場合、一時期NPO法人の設立が多く行われましたが、NPO法人は所轄官庁の認証がないと設立できないこと、NPO法人への出資はできず、会費や寄付のみで法人の財政を賄うことが予定されていることから、ある程度NPO法人で進めてきた事業を大きくしたい場合、そのままNPO法人では賄いきれない場合があります。
相応の事業規模を目指すことが最初から想定できていれば、当初から出資行為ができる労働者協同組合を選択すべきと考えられます。
なお労働者協同組合法は、同法成立から3年間の間、NPO法人から労働者協同組合への組織変更を認めていましたが、当初はボランティア目的で始まったNPO法人を成長させていく手段として、NPO法人から労働者協同組合への組織変更、というのは合理的な手段であると考えられます。
5 以上の通り組合の概念は、民法上の組合から始まって、世の中のニーズに併せて今も変化し続けています。
以上
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